僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「じゃあ有須と一緒に帰れば? 俺、バスプール近くのスーパーに用あっから、先行くわ」
ぶっちゃけ腹が減ってるから、早く帰りてぇのよ俺は。
「……もしかして、凪に買い物頼まれたの? 大丈夫!?」
失礼だな有須。
「だから、コイツと別れたらスーパ来いよ。えのきとか絹豆腐とか、分かんねーもん」
白菜とキャベツの区別だってつかねーのに。
「あはは! うん、分かった!」
「え、いいの!? それだったら祠稀くんも一緒に帰ったほうが……っ」
「気にすんな。じゃーな。有須ぜってー来いよ! 買うもん間違えて凪に怒られるのはご免だかんな!」
「あはっ! 分かってるよっ」
手を振る有須と一応香織にも微笑んで、先に校門へ向かう。
後ろから「鍋パーティーでもするの?」と、明るい大雅の声が聞こえたけど、特に気に留めることもなくiPodのイヤホンを耳に付けてひとり黙々と歩いた。