僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「お会計しに行こっ」
有須がレジを指差し、なかなか重い買い物カゴをレジに運び、会計を済ました。
「……なんで豆腐をわざわざ小っさいビニール袋に入れんの?」
有須の意味不明の行動に首を傾げていると、笑われる。
「なんでだろ。あたしの家がそうだったから、疑問に思ったことないや」
「ふーん?」
ペラペラの袋に入った豆腐がエコバックに入るのを見届け、俺は手を差し出した。
「持つ」
「えっ、あ、ごめんっ。ありがとう!」
有須の手からエコバックを取り上げた時、腕捲りをしてた有須の腕が目に入る。
「なにそれ。痛そー」
「へ?」
「腕。ぶつけたのか?」
青くなっている腕を指差すと、「ああっ」と有須は笑いながら握った両方の拳を合わせて前に突き出した。