僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「レシーブ。先輩がアタック練習してた時に受け損ねちゃったの」
「げっ、マジ!? どんだけ強ぇアタッカーなんだよ!」
「エースの人のだったからね」
「大変だな」
まじまじと言うと、有須は声を出さずに微笑んだ。俺はもう一度エコバッグを肩にかけ直し、スーパーの出入り口に足を進める。
「お腹空いたね」
スーパーを出ると有須が言って、俺は暗くなった空を仰ぎ見ながら、ふとさっきのことを思い出す。
「なあ有須」
「うん?」
「大雅とどうなの」
「どっ、どうなのって!? ただの先輩と後輩だよっ!」
有須は頬を染めながら、両手を左右に振る。
……見慣れたけど、やっぱウケんな。
「ふーん? じゃあ、他に好きな奴でもいんの?」
「えぇ!? い、いないよ!」
さらに顔を真っ赤にさせながら否定する有須に、眉を寄せた。