僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「いねぇ? 嘘つくなって」
「いないいない! 本当にっ」
アタフタと否定する有須は嘘を吐いてるようには思えなくて、俺はガックリと肩を落とす。
彗のこと好きなんじゃねぇの? ……つまんねぇな!
「なんだ、……はぁ…」
いじり倒したかったのによ。
「??」
隣で首を傾げる有須をチラッと見て、わざとらしい溜め息をつく俺。
「えっ、えっ!? 何!?」
「なんでもねーよっ」
まだ疑わしげに俺を見てる有須にデコピンを食らわせて、進む足の速度を速める。
「おら、早く帰んぞ。凪にボコボコにされたくねぇだろ」
「はっ! そうだね! 祠稀の命が危ないっ」
ちょ、怒られんの俺だけか!