僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「やめてっ!!」
思い切り何かを払い除けたあたしの手は宙を切っただけで、視界は薄暗くて天井しかなかった。
「……ハッ、……ハァッ…」
瞳孔が開いて、息が苦しい。体中が汗で濡れて、額から嫌な汗が流れ落ち、頬は涙で濡れていた。
「ハッ……ハァッ……ゆ、め……」
夢だ……。
上半身を起こして額の汗を拭う。寝ていたはずなのに、体は温かいどころか冷えていた。
微かに震える手で胸を押さえて呼吸を落ち着かせながら、部屋を見渡す。
まだ薄暗い……きっと早朝だ。
「……」
捲れた布団をもう一度被ろうとしたけれど眠れそうになくて、深く溜め息をつく。
布団を退かしベッドから降りる。冷えた体を両手でさすりながらリビングへ向かった。