僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
グッと唇を結び涙を堪え、祠稀が待つ場所へ向かった。
「……」
体育館前の階段に腰掛けるのは、祠稀だけではなかった。
祠稀の隣に、彗がいる。思わず立ち止まってしまったあたしに気付いた彗は、優しく微笑んでくれた。
胸が締め付けられるのと同時に、目頭が熱くなる。
……あのね、彗……。
あたし、彗の笑顔が大好きなの。
彗のこと、好きだって気付いたの。
守りたいの、彗のこと……。
あたしバカかな? そんな力、どこにもないのに。
でも守りたいの。ただ、好きなだけなのに……どうしてこんなことになったのかな。
大事な人たちを。
大好きな彗を。
守れる力が、欲しいよ……。
.