僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「あ゙ー……喉イタいぃぃ…」
「遊志、歌上手いね」
声が掠れ気味の遊志に言うと、「惚れた?」とふざける遊志。あたしはフッと鼻で笑ってから、口を開いた。
「さぁ?」
「なんやねんそれぇ〜…」
肩と頭を下げる遊志に笑っていると、テーブルに置いていた携帯が光り始める。
「メール?」
暗い室内では携帯の着信ランプが目立つ。あたしは携帯を取り、返事の代わりに頷いた。
「祠稀だ」
メールを開くと、祠稀からの≪帰ってこい≫の5文字のみ。
……なんで? 今日は彗が夕飯当番だよね?
「なんやって?」
「ん? あー……内容ないメール」
危な……っ!
危うくメールを見せるとこだった。一緒に住んでるのバレるじゃん。
遊志は大して興味なさそうに「ふーんっ」と言っただけ。それに、違和感を感じた。自惚れてるわけじゃなくて、いつもの反応と違うと感じたから。
妬けるやん!とか、内容ないメールならせんでええ!とか……。
それ以前に“なんやって?”なんて、メールの内容を遊志は聞くタイプ?