僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「……祠稀のこと、知ってんの?」

「えぇ? そら知っとるよ〜! なんせ3年のトップ潰したんやから。祠稀くんのことは、全校生徒知っとるやろ」

「まあ、そうだけど……」

さっきの遊志の態度が気になる。


……あたしの悪い癖だ。微妙な変化に気付くと、考えが止まらない。


「そっれっに! 愛しの凪と仲いい男やからなぁ〜!」


おちゃらけて言う遊志ですら、ごまかしてるように見えてしまう。


……ダメだ、考え過ぎだってば。


「ホンマやで?」

「……」


あたしの心情を察したのか、それとも怪訝な顔でもしてしまったのか、遊志は急に真面目な顔をする。突然のことに惑い、言葉に詰まってしまった。


「俺ホンマに、凪が好きやで?」

「……うん」


違うの。ごめん遊志。疑ってるわけじゃなくて……違うの……何か、隠してない?


「……凪」


何かを、ごまかそうとしてない?
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