僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「何を焦ってるの?」
あたしに伸びかけた手が、止まった。
「……そら焦るやろ? 俺、意外にヤキモチ妬きなんやで?」
引っ込んだ手は、そうは言ってないよ。
「……あたし、帰るね」
「は!? なんでやねんっ! 気ぃ悪くしたん!? ホンマごめんっ! もう手出そうとしぃひんからっ」
本当に申し訳なさそうにする遊志に、胸が苦しくなる。
分かってるよ。遊志はきっと、本当は女遊びとか激しくない。好きな子には手を出さないって、優しくするって思ってる。
今日だって、学校を出たら手を繋がれるかなって思ってたけど、遊志は触れてこなかった。
だからこそ、本気の束縛じみた発言に違和感を感じた。
「……祠稀に呼ばれたの。たぶん、何かあったから」
何かあったか、何か、話すことがあるのか分からないけど……不安が募ってきた。
「……帰したくあらへん」
「どうして?」
何か、知ってるから?