僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「っ!!」


突然ソファーに押し倒され、あたしは反抗しようと遊志の顔を見る。だけど……。


「……何か……知ってるの?」


あたしに覆い被さる遊志の顔は、苦痛に歪んでいるように思えた。


「行かんといて……」


どうして、泣きそうな顔するの?


「……どいて、遊志」

「アカンッ!」

「なんでよ!!」

「アカンねん……凪……」


なんで、なんでよ。

意味が分からない。言ってくれなきゃ分からない。言ってくれないなら、今すぐ帰らせて。


「……凪は傷付けたくないねん」


あたしに覆い被さりながら俯いた遊志に、目を見張る。


凪……は?


凪はって何? ……あたし以外の誰かを、傷付けるの?
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