僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「なんの話をしてるの?」
祠稀や有須を……彗を、傷付けようとしてるの?
「遊志!」
黙ってる遊志に叫ぶと、俯いていた顔をあたしに向けた。
「……いろいろヤバい奴やねん。目、付けられとる。何しとるかは知らんけど……絶対危ないねん」
「分かるように話してよ……っヤバい奴って誰!?」
「関わらせとうないねんっ」
「誰だって聞いてんの!!」
苛立ちが募るあたしに、遊志はよりいっそう眉間に皺を刻み込み、重苦しく口を開いた。
「柴……柴 大雅」
目を見張ったあたしを、悲しそうな瞳で見下ろす遊志。
「有須ちゃんを、自分のモノにしたがってんねん……詳しいことは知らんけど、脅してでも手に入れるって、……っ!」
ドンっと遊志を撥ね退け、起き上がる。
「あたしたちを傷付けるって……有須を脅したの!?」
何も言わず眉を下げる遊志に、当たりだと分かった。