僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
最後の同居人
◆Side:祠稀
――ブーッブーッ。
「……」
一度開けた目を再び閉じたが、携帯のバイブ音がやけに耳の奥で響く。
いまだ震え続ける携帯に手を伸ばし、名前も確認せずに受話ボタンを押した。
相手は分かってる。
起きてすぐ、天井が高いリビングに薄明かりが差し込んでいた。こんな時間に電話してくる奴はひとりしかいない。
「……なに」
『あははっ! 寝てた?』
自分でも分かるくらい寝起きの声をしてるんだから、当前だろ。
そう口にする気力もなくて、のそりと上半身を起き上がらせた。
体いてえ。久々にソファーで寝たからか……。
『ちょっとー、聞いてる? まだ寝惚けてんの?』
「……うるせぇな……今何時だよ」
乱れていた毛布から体を出して立ち上がると、やっぱり体中が軋む。