僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「……いや、別にいいけど、起きんの早くね?」
「目、覚めちゃっただけ。あたし1回起きるとなかなか寝付けなくてさ、ココアでも飲もうかと」
「あ、俺も飲みてぇ」
「ふはっ……今淹れるね」
まだ寝てる彗を起こさないように小声で話す俺たち。キッチンに向かった凪を見てから毛布を横に置いて、ソファーに座り直す。
テレビの上の壁を見上げて時計を見ると、時刻は5時10分を回ったばかりだった。
「祠稀」
「あ、サンキュ」
ぼーっとしている間に凪がココアを持ってきて、テーブルの前に座った。俺はソファーにもたれ掛かりながら、熱いココアを口に運ぶ。
「祠稀って甘いの平気なんだ」
「平気どころか好きだな」
「ほんと? 彗はね、甘いのダメなんだよ」
「マジか。ああでも、好き嫌い激しそう」
「ははっ。その通り」
おかしそうに笑って、マグカップを両手で包む凪。その様子を横目で見つめる。