僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
同い年には見えねぇよなぁ……。つか今スッピンか。
俺もよく実年齢より上に見られるけど、化粧っ気がなくても凪も相当大人っぽい。
「なんかいいね、こういうの」
不意に凪が呟き、ココアを飲もうとした手を止めた。
「早朝からココアが?」
「うん。時間がゆっくり流れてるみたいで、いい」
俺を見て微笑んだ凪だけど、その笑顔はどことなく寂しそうだった。
この時、凪に会う前から感じていた気持ちが再燃した。凪は俺が持っていないなにかを持っているんじゃねえか、って。
「……これからもこんな朝、あるんじゃねぇの」
柄にもない言葉を口にすると、凪は少し驚いた顔を見せた後、本当に嬉しそうに笑った。
まるで今まで、こんな穏やかな朝はなかったみたいに。
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