僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「彗ー。いい加減起きねぇと、凪の頭にツノ生えそうだぞ」
傍観していた祠稀が加勢してくれた、けど…。
「角って何よ!」
「あーあ、手遅れだな彗。あと5秒以内に起きなきゃ殺られんぞ」
「ちょっと祠稀!?」
超失礼じゃない!?
あたしにお構いなしに祠稀は続ける。
「はいカウントダウンー。ごー、よーん、さーん」
「にー」と言ったところで、彗はのそっと体を起こした。
……お、起きた…。
「はよ」
「……おはよ」
返事をした彗に祠稀はフッと鼻で笑って、リビングへ戻った。背伸びをしながら欠伸をする彗を見ながら思う。
必死こいてたあたしの立場って……。