僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「あたしが募集人の、夢虹 凪だよ。よろしく、呼び捨てでいいからね。……ひとり? 業者さんは?」
「はいっ! えと、あたしだけ先に挨拶に来たんです! 今呼びますねっ」
有須は慌ただしく電話をかけている。その間にドアを全開にして、後ろを振り向いた。
「彗、祠稀! 手伝って!」
廊下の先、リビングに続くドアの前で様子を伺っていたふたりに、外に出て有須の荷物を運ぶよう促す。
「凪って人使い荒くね?」
「……いつも」
「なんだって? ほら、挨拶して」
ちょうど電話が終わった有須の前にふたりを押し出した。
「……夢虹 彗。凪のイトコ」
「日向 祠稀。よろしくー」
「あ! いっ、阿 有須です! 有須って呼んで下さい! お世話になりますっ」
大きな声で頭を下げる有須に、あたしたちは顔を見合わせ笑う。