僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「そんな畏まんなくていいよ! あたしたち全員タメなんだからさっ」
「あ! つうか高校どこ!?」
祠稀がパチンと指を鳴らしてから目を輝かせた。もちろん、あたしと彗も。
有須までS高だったら、これはもう運命に違いないよ。
「えっ」と小さく唸ってから、有須はピンク色のグロスが輝く唇を開いた。
「S高校です、……?」
「「キターーー!!」」
あたしと祠稀はハイタッチして、彗は有須に微笑む。
「……俺らもS高」
「え!? え、本当ですか!? 凄い!」
「あたし凄過ぎるー!」
「凪、お前超能力使えんのか?」
「使えないわ!」
「凪、魔王……」
「はー!? 人間だから! あーもー、ゴメンね有須っ、バカばっかりで!」
「え!? そんな……! えと、同居人が皆さんみたいな方でよかったですっ」
有須があんまり必死に言うもんだから、あたしたち3人はおかしくて、嬉しくて、幸せな気持ちになる。
4人の笑い声が、暖かな日差しの下で響いた。