僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「有須っ!」
玄関先で談笑していると、30代くらいの女性がやって来た。その後ろには、業者の人がふたり。
「お母さん」
えっ!? あ! 有須のお母さん!? そういえば一緒に来るって言ってたかも……!
「この人が募集人の凪さんだよ」
あたふたしていると、有須のお母さんがあたしの前で深々と頭を下げた。
「有須の母です。こちらつまらない物ですが……今日から娘をよろしくお願い致します」
「わざわざすみませんっ! 夢虹 凪です! こちらこそ大事な娘さんを……えと、至らないとこも有ると思いますが、みんなで協力していきますので」
深々と頭を下げると、後ろにいた彗がボソッと「テンパりすぎ」と呟く。顔を上げてお母さんに笑顔を向けつつ、思いっきり彗の足を蹴った。
「ほら! 彗と祠稀は有須の荷物運ぶの手伝って!」
「はいはい」
「痛い……足が痛い……」
ふたりはブツブツ言いながらも業者の人に手伝うと伝え、それを見てからお母さんに向き直る。
「どうぞっ! 中ご覧になりますよね? 有須も、部屋案内するから」
有須とお母さんを中に招き入れ、廊下を歩きながらお手洗い、洗面所、お風呂を見せる。