僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
凪の隣に有須が座って、テーブルを挟んで俺と祠稀が座ってるリビングは、明るいという言葉以外当てはまらないように思えた。
どうしたらいいのか分からなくなったのか、有須がちらりと俺に視線を向けてくる。俺はそれに応えて、微笑んだ。
「喧嘩するほど仲がいい」
「よくない!」
「よくねぇ!」
同時に否定するふたりに有須は目を見開いてから、「ほらね?」と言う俺にとびきりの笑顔を向けてくれた。
「で、あたしたち何の話してたんだっけ?」
「お前いい加減にしろよ……! ビックリするわ」
昨日の今日でこんなに息ピッタリなんだから、有須もすぐに打ち解ける。はず。
「……有須は控えめなんだね」
首を傾げてそう言うと、凪も祠稀も同じように思ったんだろう、俺から有須に視線を移した。
本人はやっぱり自分に視線が集中することが苦手なのか、しどろもどろになりながらも口を開く。
「あの……あたし、引っ込み思案で、あがり症だし、口下手だし……とろいし、ボケッとしてるのも多くて……あの、すみません……」
「ぶはっ!」
「祠稀! いや有須そんな……謝るとこじゃないというか……かわいい……」
かわいいって悶えるところでもないと思うけど……。でも祠稀もそんな風に思って笑ったんだろうなってことは分かる。