僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「何かいいね、こういうの」


思わず本当の気持ちを口に出してしまい、慌ててみんなを見ると優しい雰囲気が溢れていた。


「当たり前じゃーん! うちらは今日から家族同然なんだからさっ」

「超怖い女王様がいるけどな」


あ、あ……凪の顔が……。


「プレステ以外にWii買わせるよ」


喧嘩を始めそうな凪と祠稀にハラハラしていると、彗がぼそっと「……鬼」と呟いてあたしは言っちゃダメ!と思う。


だけど、なんだかその焦りは嫌じゃない。止めなきゃと感じる喧嘩じゃなくて、じゃれてるように思えたから。


「彗くーん? お姉さんを怒らせたいのかな? 明日の朝飯、大嫌いな生クリームにしてあげようか?」

「……ヤダよそんなの気持ち悪い」

「なあ有須、コエーよな? 逆らわないほうが身のためだぞ」

「ふふっ……そうかもね」

「全員あたしをなんだと思ってんのよー!!」


怒り出した凪以外が笑った。


今日出逢ったばかりなのに、こんなに仲良くなって、笑顔も笑い声も絶えなくて。凄く楽しくて、何よりも温かい。


昔のあたしではありえない光景。


……あたしは今、きっと幸せの中にいる。
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