僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

◆Side:凪


「……う〜」


寝付けない。


ごろんと寝返りを打って仰向けになり瞼を開けた。暗い部屋に眉を寄せながら、手探りで携帯を探す。


まだそんなに経ってないと思うけど……。


携帯を開くと時刻は4時半を回っていて、ドッと疲れが押し寄せた。ついでに諦めも。


もう有須たちは寝たよね。最悪だ……明日起きられるかな……。


はあ、と溜め息まで吐いて起き上がり、ココアでも飲もうと部屋を出る。


キッチンへ向かい冷蔵庫を開けて、ポットに作り置きしていたココアを取り出した。


それをマグカップに注ぎレンジに入れ温まるのを待っていると、多分、彗の部屋から物音が聞こえた。


「……」


ふと、有須のお母さんに向けていた彗の視線を思い出す。


なんとも言えない彗の思いが、痛いくらい胸に突き刺さる。


あたしはクッキングヒーターの横に、マグカップをもうひとつ置いた。
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