僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「……颯輔(そうすけ)さん、元気?」
「何いきなり。元気だよ、ウザく感じる程度には」
「……緑夏(りょっか)さんは元気?」
「元気でいてくれないと困る」
「そう……なら、よかった」
何がいいのか分からなくて、頬杖をつきながら彗を見下ろす。
あたしの親のことを聞いてくるなんて、再会してから初めてだ。
くるくると幾度ももてあそばれる髪は、スパイラルが掛かってるからそんなに手触りがいいと思えない。
彗の綺麗な金茶の髪のほうがサラサラしてて、よっぽど手触りがいいのに。
「……彗?」
「んー?」
「寂しい?」
あたしの髪をいじる手が止まり、彗はその手を力無くベッドに落とした。
なるべく聞かないようにしていたんだけど、今は逆に聞いたほうがいい気がした。
彗が弱音を吐くところなんて、見たことがないから。