僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「……凪がいるから、寂しくないよ」


向けられた微笑みは確かに口の端が上がっていたのに、色素の薄い瞳は揺れているように見えた。


「それ、あたしが言ったまんま」


彗はフッと笑って、「そうだった」と呟く。



――彗の両親は、彗が5歳の頃に亡くなった。飛行機の墜落事故で、仕事から帰ってくる時だったらしい。


幼い彗は突然ひとりぽっちになり、親戚が交代で面倒を見ることになった。でも、急には無理だと最初に引き取る人が中々現れなかったみたいで。


そんな中、1番に彗を引き取ったのはあたしのパパ。


その頃パパは色々と忙しくて彗を引き取れる状況ではなかったんだけど、弟の息子ならばと心良く引き受けたらしい。


あたしと彗は5歳の時から5年間、同じ屋根の下で共に過ごした家族。


一緒に住み始めて5年後、彗は親戚の家に行ってしまったけれど。


ぜひ我が家にと、なぜか懇願されたからだ。


そこまで望むなら大事に育ててくれと、パパは渋々承諾したのに。


転々と親戚の家をたらい回しにされていたと、彗が同居しに来た日に初めて事実を知った。
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