【実話】コイウタ・完
佑斗を想って寂しくなったりもするけれど、佑斗も夢に向かって頑張るんだから私も佑斗のことをなるべく考えないようにした。
私は夢をつかむ為に、もっと歌が上手くなりたくて必死でレッスンを頑張った。
毎日、暇さえあれば電車の中でも学校に向かう道の途中でも、いい詞が浮かぶと携帯に書き溜めるようにした…。
スタジオを自分で取ったり、カラオケに行って練習もした。
私は、ミュージシャンを目指してたパパと音楽が好きなママから生まれ、『この子にも音楽の素晴らしい道を歩んでほしい。』と願いを込めて『詩音』と名付けられた…。
でもパパやママに歌をやりなさい、と言われたことなんか一回もない。
気付いた時には自然に歌が好きだった。
物心ついた頃から、音楽があるのが当たり前だったから、歌がなくなったらどうしよう?とか歌手になれなかったら?とか考えた事なんてなかった。
絶対になりたい!
それしか思ってなかった。