【実話】コイウタ・完
宛先に書いた、佑斗の住所…名前…電話番号…
なにもかもが久しぶりで、今まで自然と覚えていたのに…
もう少しずつ忘れてしまっていた。
それが寂しかった…
佑斗が過去になってく証拠だから…。
『……しおん?………』
ぼーっとする私を不思議そうに見つめるママ
『あ、ごめん(笑)』
『送り主のところにうちの住所と詩音の名前書かなきゃ!』
『うん』
本当はちょっとだけ、書かなくてもいいかなって思った。
寮だから友達にも見られる気がするし…
―この子、佑斗と別れたくせに―
なんて思われる気がして…
『はい、宜しくお願いします』
書き終わって、レジの人に紙を渡すところにパパと童夢が来た。
『そろそろ帰ろうか』
『はーい』
『ありがとうございましたぁー』
私たちは、元気いっぱいの店員さんの声を背に、コストコをあとにした。