【実話】コイウタ・完
片付けも進んでいて、何もなかったリビングは少しずつ生活感が出てきた。
『佑斗を駅まで迎えに行ってくる!』
そう言って家を出た私は、佑斗と待ち合わせした最寄りの駅まで早歩きで行った。
佑斗の姿を見るのは、付き合ってから初めてデートした2月以来だから…。
毎日、写メ付きメールやテレビ電話はしていたけど、やっぱり電話ごしなんかじゃなく佑斗の声や姿をきちんと感じられるなんて、こんな幸せなことはないよ…。
『初めまして!詩音さんとお付き合いさせて頂いてます!工藤佑斗です。』
約束通り佑斗は昼すぎにうちに来た。
『初めまして。』
パパとママは、私が彼氏を紹介したのが初めてだったから少し戸惑っていたけど、なんだか嬉しそうでもあった。
佑斗の言った言葉が、恥ずかしくて…
でも、私は佑斗の彼女なんだって、分かってるのに改めて実感した。
『ねぇ!私の部屋2階だから行こっ☆』
パパとママの前で、佑斗とどう接したらいいのか恥ずかしくなって私は2階に佑斗を連れていく。