【実話】コイウタ・完

―最終日―




ジリリリリ――――。



ホテルの部屋に響く、目覚ましの音ですぐに目が覚めた。



『ふぁ〜〜〜…。』



大きなあくびと共に
腕を精いっぱい広げて天井に伸ばす。




本当に時間が立つのは早くて、
今日が長崎でのライブ最後の日…。




いつもより自然とヘアメイクにも気合いが入る。



今日は本当の地元、長崎の大村市でのライブ。


しかもライブ会場は、大村のショッピングセンター。




そのショッピングセンターは、小学生の時毎日のように行っていたし、遊ぶ場所といえば絶対にここだった――。



地元でも一番と言ってもいい程、馴染みの深い場所…。



そんな特別な場所でのライブは、楽しみな気持ちよりもなぜか不安の方が大きい…。




お客さんは、集まってくれるのだろうか…

私の歌は、きちんと届くのだろうか…




余計な心配ばかりが、私の心の中を占領してゆく。



『んもーっ!!!!』



部屋で一人、複雑な気持ちと葛藤しながらも準備を進めた。


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