【実話】コイウタ・完
―夕方―
何回も、何回も鏡でメイクや服を確認する私…。
『よしっ!』
佑斗との約束の時間まであと30分――。
胸のドキドキが聞こえちゃいそうなぐらい緊張する。
『いってきまーす☆』
電車で20分ぐらいの場所で待ち合わせしている…。
家を出ると、もう辺りは暗くなっていて寒さで息が白い。
『うぅ〜…』
かじかむ手をポッケにしまって
歩き出した。
毎日歩いている駅までの道が、今日はいつもより長く感じる…
カツッカツッ
とヒールの音が人気の少ない道に響いて、それと同時に鼓動も早くなる気がした…。
駅に着いて電車に乗ると、
なに話そう…
とか
どんな顔して会えばいいんだろ…
とか
色々考えてしまって、20分なんてすぐだった。