GIOCO
近付く潤次、下がる相手。
「命は平等だ。だから命は一つだけ何だよ…なのにそれを簡単に奪う…」
「やったのは…俺じゃな…」
「同じだろ!!」
言う前に潤次は言葉を被せた。
叫ぶ声は殺意に満ち溢れていた。
殺せば相手と同じになる。
だけど、押さえ切れない感情。
「…同じ目に遭えばいい。そうすれば、気持ちが判るんじゃないか?」
後ろに下がりすぎて男は壁に背中をつけた。
逃げる事は出来ない。
否、逃げれない。
潤次は何も言わずに男の首を掴んだ。
男の体が宙に浮く。
体格の差は歴然なのに、何処からこのような力が出るのか。