グランディオ
序の壱「知れぬ者」
険しい山道を一人の男と幼き少女がゆっくりと進んでいた。進む方向には都街アルティロが在り、そこを目指して旅をしている。
少女は彼の身体に必死になってしがみつき、彼はそれを支えながら、木々を駆け、岩場を下る。後半日も駆ければ着く距離であろうが、彼は少女の身を心配しながら走るペースを落としていた。
日が高く昇り、春だというのにも関らず、暑く陽が照りつける。一度水分補給をしようと水辺まで道を変えると、少女が何かを見つけたのか、グイグイと彼の衣服を引っ張った。
一回止まって彼女に目をやると、遠くを指差して瞳は強く何かを求めていた。そちらの方向に振り向くと、眼はすぐに彼女が見つけたものを見据え、小さい声で「まずいね」と呟く。
無言で助けてと云う彼女に、彼はにこりと笑って、頭を優しく撫でた。
「大丈夫、この辺の人たちは戦い慣れているんだ。僕が行くまでに死ぬことはないよ」
そういうと、直ぐに進路を変えた。凄まじい咆哮が轟く方へと…。
少女は彼の身体に必死になってしがみつき、彼はそれを支えながら、木々を駆け、岩場を下る。後半日も駆ければ着く距離であろうが、彼は少女の身を心配しながら走るペースを落としていた。
日が高く昇り、春だというのにも関らず、暑く陽が照りつける。一度水分補給をしようと水辺まで道を変えると、少女が何かを見つけたのか、グイグイと彼の衣服を引っ張った。
一回止まって彼女に目をやると、遠くを指差して瞳は強く何かを求めていた。そちらの方向に振り向くと、眼はすぐに彼女が見つけたものを見据え、小さい声で「まずいね」と呟く。
無言で助けてと云う彼女に、彼はにこりと笑って、頭を優しく撫でた。
「大丈夫、この辺の人たちは戦い慣れているんだ。僕が行くまでに死ぬことはないよ」
そういうと、直ぐに進路を変えた。凄まじい咆哮が轟く方へと…。