グランディオ
アジトを出ると、サキィに別れを告げて宿屋に戻る。まだ安眠しているルビアの枕元でイスに腰をかけ、渡された一枚の紙切れを読む。

ゼノスの言う言葉の意味。クウェイトを追っかけるならば、幻獣王ガイアクラルトを倒し、グランディオになる必要が出てくる。だが、そこまでして彼を追う必要は無い。はずなのだが、色々と引っかかる点があり、悩ませるところである。

だが、そうなればどこかのギルドに所属し、尚且つS級の魔生物を討伐しなければならない。いきなりS級に挑むことも出来ないこの世界での規約。真実を知るのはかなり先になりそうだ。

「急ぐ必要も無いか。あそこにクウェイトさんがいたのは確信だけど、あの事件は関係ないだろう」

紙を二つ折りにして机の上に置くと、剣を立て掛けてルビアの横に身体を横にした。ギルスにとっても久々に落ち着いて寝れる。見張りで周囲を警戒しながらの仮眠は休息にもならない。今日は安心して寝れるだろうと、瞳を閉じた。



その頃、ティナとそのお連れノマは、魔狩の瞳で見た男ギルスの顔写真を頼りに、特別区を歩き回った。知り合いのいるギルドやそのコネでまだ知らぬギルドの所へも赴き、最終的に強者が集まる区域にまで足を運ぶが、見たことはないと告げられる。

お礼とはいうものの、今ではなんだか目的が変わり始めているとティナの反応をみながら思うノマだが、面白いからいいかと後を付いていく。

最後の砦、デットラビューン。もう日は暮れて街灯が点き、月は雲を避けて光を照らしている。こんな夜遅くにと無礼を考えず、ただ目的のためにティナはアジトへと足を踏み入れた。

それぞれの狩戦士達は自分たちの寝床に戻っている頃で、ギルスがここに訪れたときの見張りとはもう交代していた。リーダーであるゼノスも明日からの依頼に手を付けるため準備中で会わせてはもらえず、結局その時アジトにいたものは全員みていないものたちばかりで何の情報も掴むことは出来なかった。

やはり、どこのギルドにも所属していないのだと、結論づいた。



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