グランディオ

弐「密か」

アルティロの中を久々に歩き回ろうと、ルビアを連れて外に出た。一応ながら通信機を携え、住宅区の遊園域や中央区の管理塔の中にある訓練施設。見たこともないものがたくさんあるだけに、ルビアの顔には常に笑みがこぼれていた。

訓練施設での課程を修了しなければ、特定の条件をクリアしていない限り、狩戦士となることは許されない。無断でどこかのギルドに所属すれば、ギルドとそこに属する全ての狩戦士は資格を剥奪され、二度とこの職業にはつけなくなってしまうのだ。

「ギルス、ここで訓練するのか?」

ギルスの強さを知っているルビアは、施設を見てそう答えた。子供でも必要のないことが分かってしまうぐらい初期段階の課程。見ていて、これを受講するのは面倒くさいこと。だけれども、凶暴である外の生物達を倒してもお金を手に入れることは出来ない。お金を手に入れるには、狩戦士として登録をしておかねばならないのだから。

軽く考えるフリをするギルス。だが、どうやって狩戦士になるかはもう決めているらしい。その方法はもちろん、施設での課程を修了することではなく、条件資格として登録させようというものであった。

「ルビアが心配することじゃないよ。仕事の事は僕に任せて、その他のことを心配してくれ」

ギルスの笑っている顔が何かを企む感じがして、ルビアは少し呆れた顔をしていた。それでも、それが確実なんだといつもの生活から分かっているために、心配することを止めて、あっちに行こうと走り出した。


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