グランディオ
それから一週間と少しが経ち、新しい情報が中央管理塔から流出する。都街アルティロの周囲地域で、数箇所の獣の巣が全滅している。誰の仕業かもわからず、死体には一刀両断の太刀筋から槍での突貫と数人の手によってやられているものだと推測されている。だが、近くにはその者等が住まうような場所はどこにもなく、集団でアルティロに入った者もいない。

噂では、黒紫の雷を操る槍の使い手や、紅蒼の剣を両手に携えているとか様々。だがそれでも、S級にA級の狩戦士が義心で動けば当たり前に出来る事で、上位に立つギルドの者たちはその人物を探すことはなかった。それでも気に留めていることは確かではあるが。

「動いているのは出来立てとランクアップ目当てのギルドのみか」

中央管理塔で、呑気に掲示板をみるギルス。謎の討伐者に対しての情報求むと書かれた紙は十枚以上にも上るが、どれも気に入るような条件ではない。とはいえ、別に狩戦士として仕事が出来れば言いわけなのだが、危険度の高い依頼を取る優先順位というものがあるために低い場所に入るわけには行かない。息抜きに丁度いい簡単な依頼ばかりというのもつまらないのだ。

やはり否応無しにデッドラビューンに在籍するのがいいことなのだろうかと深く悩んでしまう。そろそろ決めて依頼を始めないと、蓄えていたお金は底をついて、宿に泊まることも出来なくなる頃だ。飯も満足に食べられなくなる。

「あの時に恩を売っておくべきだった」

後悔先に立たずとはこういうものだなと、理解を得る体験だ。

ルビアがいなければ、宿などに泊まらず、野宿で生活をしていたんだがな。あそこに一人残すわけにも行かないしな。少しばかり階級の高いのに手を出してみるか。

貼り紙に描かれた一匹の猛獣の情報を手に取ると、管理塔を後にした。その猛獣の名は、危険度A級であるライオネス。名前の頭にあるように雷獣である。一本角である頭角は避雷針のように雷を受け、そこから放たれる轟きは一瞬にして物体を焼き焦がす。身体中が微量ながらも放電していて、武器をつたって感電することもある攻撃しにくい生物である。

特殊武器や、雷に耐性を持つように造られた武器でない限りそれを防ぐことは出来ない。雨の日など雲が空を覆う日に出現することが多く、警戒心が強く好戦的である。人だけではなく、他の獣達も襲うことがある。


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