ハピネス 〜女になった私〜



さっきまでいなかった男の子が、私の席に座っている。


遅れて来た友達かな?



「あれ、未希ちゃん?」



まだ自己紹介もしていないのに、彼は私の名前を知っていて、驚いた顔をしている。



何となく、見覚えのある顔・・・



誰だっけ?



「ノブの彼女と、拓の彼女〜!」



ノブくんの友達が紹介してくれて、ペコっと頭を下げた次の瞬間・・・



「ええーーっ!?ノブ、未希ちゃんと付き合ってんの!?だってこの子、ニューハーフでしょ??」



あっ思い出した・・・



ノブくんと出会った合コンで、私の胸を触ろうとした人だ・・・


一瞬にしてシーンとなるテーブル。



目の前が真っ白になって行く。



刺さるような視線。


逃げ出したい・・・



ノブくんの友達の前で、会社の子もいるのに・・・



知られたくなかった。




「未希、おいで?」


ノブくんが手招きをするけど、私の足は一歩も動かない。



バシッと隣の男の子の頭を叩いて、私の所に来てくれた。



「ノブくん・・・ごめん・・・」



浮かび上がった涙を優しく拭ってくれる。




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