ハピネス 〜女になった私〜
18歳の誕生日を迎えると、お母さんと二人で東京で部屋を探した。
今まで貯めた貯金と、お母さんがコツコツ貯めていたヘソクリ。
ワンルームで家賃4万円の小さなアパートを契約した。
カウセリングの先生に紹介された病院に行き、ホルモン治療の同意書をもらって、私達は田舎に戻った。
引っ越しの前日まで、お父さんへの説得は続いた。
お父さんの同意がなければ、東京に行っても私はホルモン治療を受ける事が出来ない。
3人での話し合いが続く最後の夜、お母さんがお父さんに離婚届を差し出した。
「もう決めてあります。どちらかにサインをして下さい。」
「お母さん、ダメだよっ!僕の為にこんな事までしないで!」
「アンタは黙ってなさいっ!私はアンタを女の子に戻すの!もう決めたのっ!」
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
私がこんな風に生まれてしまったから、家族を不幸にしてしまう。
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