人魚王子
「ロッサムをたぶらかしているのはお前か?」


ロッサムの後を付けていたのでしょう。そこには背丈の大きな男がいました。

その男を見た途端に、ロッサムの表情は見る見るうちに青ざめました。

勿論フィアンはその男の事を知りません。だから尋ねました。何者なのかを。

聞けばあのお城の王子さまで、ロッサムの婚約者だと言うではありませんか。


「やめて! 私が結婚すれば周りを傷つけないって約束でしょう?」

「相手が男で、お前と密会を繰り返しているなら話は別だ」


ロッサムが必死に訴えましたが、この王子さまは言う事を聞こうとはしません。

フィアンは思いました。ロッサムには結婚を誓った相手がいて、

きっとこの王子様はロッサムに沢山の愛情を注いでくれる。

そうでなければ自分を痛めつけようとはしない。と。
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