人魚王子
海に戻ったフィアンは1週間眠り続けました。

余程衰弱をしていたのでしょう。フィアンはまた夢を見ました。

フィアンはまた白い扉の前にいました。また扉の向こうから声が聞こえます。


『勿体ない、ああ勿体ない。お前は姫に会えたと言うのに』

「仕方ないよ。ロッサムには婚約者がいたのだから」

『娘はもうすぐ城へと嫁ぐぞ』

「そう。だったら歌でお祝いしないとね」


フィアンはそこで目が覚めました。ロッサムを祝う為です。

両親はフィアンの体調を心配しましたが、フィアンはそれも気にせず歌い始めました。

透き通った何処か悲しげな歌。珍しく男性達は寄って来ませんでした。

何日も歌っていなかったフィアンは喜び、そして悲しみました。
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