人魚王子
「…………そっか、そうだったんだ」


ロッサムは何故か納得をしていました。勿論フィアンは何の事か分かりません。


「夜にね、久し振りに歌を聞いたの。
毎日のように聞こえた歌が突然聞こえなくなって、
フィアンがいなくなって暫くしてからまた聞こえた。
それでフィアンの喋った声を聞いて分かったの。妙に懐かしくなったから」


それは何を指しているのかを、フィアンはすぐに分かりました。

ロッサムはフィアンは人魚姫だと分かったのです。もう隠す事はないです。

だから余計にフィアンはロッサムに別れを告げる必要があります。

自分は半分魚。ロッサムは完全なる人間。

思えば、陸の人間と恋なんて難しい話だったのです。
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