人魚王子
「分かったでしょう? だったら王子さまの元へ帰らないと」

「嫌。あんな暴力男の元へは帰りたくない」


ロッサムは嫌がりました。自分はフィアンの元が良いのだと言うのです。

ロッサムは話します。お城に引きこもると言う事は、人魚姫の歌も聞けないと言う事。

それはロッサムにとって勇気付けられるものを奪われる事。

悲しみを取り除く手段も完全に失われるのでした。

気付けばロッサムはその歌なしでは、生きてはいけない体質になったようです。


「でも、僕は水中でないと生きていけないんだよ?」

「だったら私も水中で生きられるようにして? 
だってフィアンだって陸地に上がれたのでしょう?」


フィアンは悩みました。何をすればいいのかが分からないのです。

あの夢の中に出てきた扉なら出来るかもしれません。
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