人魚王子
彼が歌えばその歌声に惹かれてやって来るのは、男性ばかり。

男性は皆、フィアンの歌声を女性の物と勘違いしているようでした。

勘違いだと分かっていながらも、フィアンに惚れる男性も少なくはありませんでした。

彼の歌声に惹かれるのは男性だけ。

女性はフィアンの歌声に嫉妬して、近寄らなかったのです。

それでもフィアンが歌う事をやめないのは、

歌をやめれば自分が死んでしまうと思っているからでした。

それほどまでに、フィアンは歌が大好きなのでした。


(ああ、僕のお姫さまは何処にいるのだろう)


ゆらゆら揺れる月を眺め、フィアンは夜な夜な嘆いていました。
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