人魚王子
そんなある日の事でした。

フィアンは何時ものように眠っていると不思議な夢を見たのです。

真っ暗な闇の中で、フィアンはただ1人彷徨っていました。

すると目の前に大きな白い扉が。開けようとしてもなかなか開きません。

諦めようとしたその瞬間、女性の声が扉の向こうから聞こえました。


『お前の姫は海にはいない。陸にいる』

「本当ですか?」


怪しいと思う事もせず、フィアンは扉の声に耳を傾けました。


『陸に行きたいならば、魔法をかけてあげよう。ただし、喋る事は出来ても歌えないぞ』


フィアンは悩みました。

命と同じくらいに大事な歌が歌えない事が、とても苦しく思えたからです。
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