人魚王子
フィアンはその時、今まであった女性とは違う何かをこの少女に感じました。


「え、えっと……?」

「駄目です……命を粗末にしないで」


その必死な訴えを勘違いと言えないフィアンは、困りました。

今から海に戻りますとは絶対に言える訳がありません。なので仕方なく、


「死にはしませんから大丈夫」


と言いました。少女は満面の笑みを浮かべてフィアンを解放しました。


「良かった……でも何で海に?」

「えーと……」


落し物をしたと言うには進み過ぎた距離でした。答える前に少女が答えました。
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