7月7日、逢いたくて
彼方はずっと孤独だった。
両親を失ったあの日から
彼方は祖父に育てられ
そんな祖父でさえも、大学生の頃に失って。
無心に星を追い掛け
寂しさと戦っていた彼方は、どんな気持ちだったんだろう。
あの優しさも、温もりも
あれは全て、彼方が求めていた事だったんだ。
……………
――ガチャン、と勢いよく扉を開ける。
プラネタリウムを飛び出して
家に帰って来たあたしは、雨に濡れた服を気にする事もなく
真っ先に“それ”を棚から取り出した。
電気も付けず
クッキーの缶の蓋を開ける。
そこには、あのstar letter。
これは、きっと―――。
部屋に差し込む外灯の明かりを頼りに震えた手でハガキを順番に並べ、あたしは力なく床に座り込む。
その時、肩に掛けていたカバンがずり落ち、ホームスターの電源を押した。
天井に映し出される、満天の星屑。
「…彼方―――っ、」
無意識に呼んだ名前は
遠くの彼に
天の川の向こうの彼方に
届いたのだろうか。