7月7日、逢いたくて
「ねぇ、彼方。」
「ん?」
芝生に座り込んで、二人で星空を見上げる。
重なった手は
二人の距離を近づけた。
「今日、七夕だよ?」
「あぁ、そっか。」
「…もしかして、今気付いたの?」
「仕方ねーだろ、俺は忙しいんだっつーの。」
研究ばっかで忘れてた、と言う彼方が何だか可愛らしい。
ふふっと笑うと
「何だよ、」と彼方が照れくさそうにあたしを見つめる。
幸せが、溢れてゆく。
それと同時に、胸の中がいっぱいになっていくのは何でなのかな。
「ああー、くそっ!」
「な、何?」
突然わしわしと頭を掻き、声をあげる彼方に思わず驚いてしまった。
すると、彼方はあたしを引き寄せて言う。
「何で俺、お前の事こんな好きなんだろ。」
ドキン、と跳ねた心臓。
だけど、心は温かくて。
「あたしも、好き。」
「…織葉、」
「どーしようもなく、彼方が好き。」
「……それ以上言わなくていい。」
塞がれた唇は、繋がれた手よりも
ずっと優しかった。