7月7日、逢いたくて


これから聞かされるであろう言葉を前に、あたしは泣いた。


気が付けなかった自分と
何も言ってくれなかった彼方に

悔しくて、悲しくて。


いつだったか、彼方は言ってた。



『―――海外で、天文学を学びたい。』と。



その為に、研究に没頭していた事も。




あたしは、知ってる。




「………っ、」


でも、何でそれが今なの?


どうして、一言あたしに言ってくれなかったの?





「織葉さん。」

泣きじゃくるあたしを、館長が呼ぶ。


ついに、言われてしまう。

受け止めなくちゃ、いけない。



そう身構えたあたしに、館長の言葉は思いがけないモノだった。




「七夕に降る雨を、何て言うか知ってますか?」

「……え――?」



七夕に、降る雨……?






< 95 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop