純愛バトラー
【其の壱】執事、就任す
はじまり
「草薙どの。そなたには、娘の専属執事になってもらう」
新しい住み込みのバイト先でそう告げられたのは、春麗らかなエイプリルフールの日だった。
「お嬢様の専属……ですか」
「左様。あれももう15だ。そろそろ自分専用の執事がいてもよい年頃だと思うての」
目の前にいる、和装の男の名は御剣兼定(みつるぎかねさだ)。御剣財閥の現当主であり、この屋敷の主。
がっちりとした体躯に鋭い眼光、時代がかった口調は、戦国時代の武将を髣髴とさせる。
屋敷が純和風の武家造りという事もあり、本当に戦国時代に来てしまったような錯覚を覚えた。
ここは一体いつの時代の日本ですか、と思わず心の中でつぶやいた。
そんなオレの思考を中断するように、ししおどしの音が響く。
「まだまだ子供で、至らぬところも多いが、宜しく仕えてやって欲しい」
「かしこまりました、旦那様」
内心の突っ込みは億尾にも出さず笑顔で言い、恭しく一礼する。
かくして、オレ、草薙陣(くさなぎじん)は、武家屋敷に住まう姫君の専属執事になったのだった。
新しい住み込みのバイト先でそう告げられたのは、春麗らかなエイプリルフールの日だった。
「お嬢様の専属……ですか」
「左様。あれももう15だ。そろそろ自分専用の執事がいてもよい年頃だと思うての」
目の前にいる、和装の男の名は御剣兼定(みつるぎかねさだ)。御剣財閥の現当主であり、この屋敷の主。
がっちりとした体躯に鋭い眼光、時代がかった口調は、戦国時代の武将を髣髴とさせる。
屋敷が純和風の武家造りという事もあり、本当に戦国時代に来てしまったような錯覚を覚えた。
ここは一体いつの時代の日本ですか、と思わず心の中でつぶやいた。
そんなオレの思考を中断するように、ししおどしの音が響く。
「まだまだ子供で、至らぬところも多いが、宜しく仕えてやって欲しい」
「かしこまりました、旦那様」
内心の突っ込みは億尾にも出さず笑顔で言い、恭しく一礼する。
かくして、オレ、草薙陣(くさなぎじん)は、武家屋敷に住まう姫君の専属執事になったのだった。
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