純愛バトラー
「仕方ない……。普通の水着に着替えてくるか」

「用意してあるなら最初からそれ着ろよ……」

「草薙先輩。ここは体を張ってまでネタを振ってくれた叢雲君をねぎらうシーンですよ」

「シーンって何だ。長船まで青司に毒されたのか」

「いえ。僕は元々こうです」

 長船は澄ました顔で答えると、千沙子に押し付けられた空き缶を手に、ゴミ箱の方へ歩き出す。

 更衣室も同じ方向なので、青司も長船の後をついていった。

 何となく二人の向かった方角を見てみると、何やら人だかりができている。

 二人も人だかり付近で足を止めた。
 気になって、オレも二人の後を追いかける。

 すると、人だかりの中心にオレ達の良く知る人物が一名。

「絵理……」

 水着姿の絵理が、異様な雰囲気の男たちに囲まれていた。
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