純愛バトラー
「……なるほど。男性に対して好意を感じた女性は、視線を投げかけたり逸らしたり、恥らって赤くなったりすると。そういう事なのだな」

 絵理はしきりに頷きながらオレの釈明を聞いていた。

「ご納得いただけましたか?
 お言葉ですが、齢(よわい)十五になる乙女が男女の機微に全く無知というのも、些(いささ)か問題があるように思われますが?」

 憮然としながら、嫌味たっぷりに言ってやった。

「ふーむ。そなたの言う通りかも知れぬ。確かに、今回私の取った行動はそなたに勘違いを起こさせるに充分であった。非を認めよう」

 突っかかってくるのを少し期待していたオレは、あまりにあっさりと自分の非を認める絵理に肩透かしを食らった気分になった。
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