純愛バトラー
 だが、この時はいつもと少し様子が違った。
 小雪と千沙子の期待たっぷりの視線に追い詰められた青司は、少し困った顔をしている。

 返ってきたのは意外な一言だった。

「いやあ、後で個人的に済ませます」

 その言葉を聴いて、小雪と千沙子はますますヒートアップする。

「えええ――――! いいじゃん、この場で!」

「これだけ期待させておいて、最後の最後で逃げるの? 公言したんだから最後まで責任取りなさいよ」

 二人が詰め寄ると、青司は観念したように溜息をついた。
 長船と絵理は、その様子を静観している。

 オレたち全員の視線が青司に集まり、期待と不安に満ちた空気が場を支配する中で、青司はゆっくりと口を開いた。
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