純愛バトラー
「言いたい事はそれだけか。お前に何が解るんだ」

 オレがそう言うと、挑戦的な目をオレに向け、フン、と鼻で笑った。

「何が解る、ですって? お生憎様。片想いに関しては私のほうがベテランなの。私が何年貴方に片想いしてると思ってるのかしら?」

「その台詞、勝ち誇って言う事か?」

「お黙り。今まで恋愛に苦労しなかったツケが回ってきただけでしょ。
 無意味にイライラするのは、気持ちのやり場が決まってないからよ。
 貴方は御剣さんをどうしたいの?
 諦めたい? 叢雲君から奪いたい?
 それすら自分で解ってないんじゃないの?」

 千沙子のまっすぐな視線は、言葉と共にオレを容赦なく打ち抜く。
 オレを狙う狙撃手は、追撃の手を緩める気配はなかった。
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